All roads leads to ABM(すべての道はABMに通ず)

作成者: Akihiko Sunakawa|Jan 11, 2026 2:20:57 PM

 

はじめに

筆者には、「BtoBマーケティングの活動は、結局のところABM(Account Based Marketing)に行き着く」という強い思いがあります。

本コラムでは、米国におけるABMの潮流を踏まえながら、今後日本でもABMが本格的に広がっていくであろう背景と、なぜ今ABMに取り組むべきなのかについて、5つの理由から整理します。

ABMの根底にある考え方

どのようなビジネスモデルにおいても、その根幹にあるのは
「顧客の成功」
「顧客が成し遂げようとしている目的を実現すること」
です。

近年ではカスタマーサクセスという言葉で語られることが多いですが、ABMの広義の意味も、まさにここにあります。

ABMはまず、
ICP(Ideal Customer Profile=理想的な顧客像)を定義すること
から始まります。

自社にとって理想的な顧客とは誰なのか。
その顧客が目指すゴールを理解し、中長期にわたって伴走することが、結果としてLTV(Life Time Value)の最大化につながります。

このICPの考え方は、既存顧客だけでなく、これから関係を築く新規顧客のターゲティングにおいても重要な軸となります。

では、企業は何をすべきか

「顧客の成功」を前提にしつつ、企業は限られた
予算・リソース・サービス
の中でROIを最大化しなければなりません。

広告、イベント、名刺獲得、架電、メール――
これらの活動を無計画に行うのではなく、ICPに対して最適化された形で実行することが求められます。

多くの企業は、すでに企業分析やSTP(Segmentation / Targeting / Positioning)に基づくマーケティングを行っているはずです。
実はそれらはすでに**ABM的な要素(One of ABM)**を含んでいます。

ここまで読むと、
「それなら、すでにABMはやっている」
と感じるかもしれません。

しかし重要なのは、
「ABMの一部をやっていること」と「ABMに取り組んでいること」は全く別だ
という点です。

なぜABMは“やっているつもり”になりやすいのか

多くの企業では、全社的なABM戦略が存在せず、
現場レベルで断片的な施策だけが進んでいるケースが少なくありません。

その結果、

  • 中長期視点でのICPの見直しが行われない

  • 部門ごとに部分最適な活動が進む

  • マーケ、営業、サービスが自転車操業になる

といった状態に陥りがちです。

米国では、MAブームの最中であった2015年、Marketo創設者の一人がABM特化型ツールを提供するEngagio社を立ち上げました。
その背景には、BtoBにおけるリード単位戦略の限界がありました。

「One of ABM」ではなく、
ABM Strategyとしてビジネス戦略に組み込む必要がある
という気付きです。

米国におけるABMの広がり

米国では、ABMはすでに一過性のトレンドではなく、
BtoBマーケティングの中核戦略として定着しつつあります。

ITSMAの調査によると、ABMに取り組む企業は年々増加しており、
その成果も数値として示されています。

ABMに取り組むべき5つの理由

1. ROIの最大化

“84% of marketing organizations have had higher ROI with ABM than traditional tactics.” – ITSMA

ABMは、ターゲットを明確にすることで投資の無駄を減らし、ROIを高める戦略です。
経営層がABMに関心を示す最大の理由も、ここにあります。

2. 機会損失の削減

BtoBの購買には、平均して5人以上、企業規模によっては7人以上が関与します(Gartner)。

一人の問い合わせ担当者だけを追っても、企業全体の動きは見えません。
個人ではなく、企業単位で関係性を捉えることが、機会損失を防ぎます。

3. 論理的なビジネス改革

勘や属人的な判断に依存したビジネスは、人口減少や市場変化の中で限界を迎えます。

ABMは、

  • 必要なデータを定義し

  • 取得・蓄積・活用・メンテナンスまで設計する

データマネジメントを前提とした戦略です。

不正確なデータは、戦略判断そのものを誤らせます。
ABMは、論理的な経営・マーケティングへの転換を促します。

4. 意識・仕組み改革

ABMは、マーケや営業だけの取り組みではありません。
情報システム、製品、CSなど、会社全体で取り組む必要があります。

顧客は「担当者」ではなく、会社全体を見ているからです。
ICPを軸に、組織・意識・仕組みを揃えることが不可欠です。

5. 将来の糧

ABMは、短期の売上ではなく、
将来の売上を生み続ける関係性を築く活動です。

目先の売上は営業が作れますが、
将来の売上を作るのはABMの積み重ねです。

ABM → AIへ向けたデータマネジメントの具体チェックリスト(10項目)

ABMはゴールではありません。
AI時代へ進むための“土台づくり”のフェーズです。

以下は、ABMを将来のAI活用につなげるために、
今の段階で確認しておきたいチェックリストです。

  1. 企業を一意に識別できるID(法人番号等)を持っているか

  2. アカウントと個人の関係性が構造化されているか

  3. 行動データをアカウント単位で集約できているか

  4. データ項目が「使い道」から定義されているか

  5. データの入口で正規化されているか

  6. データ劣化を前提にした定期メンテナンスがあるか

  7. 部門横断でデータを統合・参照できているか

  8. スコアリングや判断ロジックを説明できるか

  9. 法規制・同意管理を前提に設計されているか

  10. AIに何を学ばせたいかを言語化できているか

おわりに

すべての道はABMに通ず。
しかしABMの本当の価値は、その先にあります。

ABMを通じて整えたデータと組織は、
AI時代における最大の競争力になります。

ABMに取り組む「いま」こそが、
5年後・10年後の差を決める分岐点なのです。

会社情報

株式会社B-Story
会社概要:https://www.b-story.co.jp/company
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「実効性」と「実行性」をコンセプトに、データの蓄積・計測・可視化の視点で戦略と実装を支援します。

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