なぜABM(アカウントベースドマーケティング)は必要なのか── あるマーケターの実体験から見えた成功の本質

作成者: Akihiko Sunakawa|Jan 11, 2026 6:08:47 PM

BtoBビジネスにおいて、
「なぜこの商談はうまくいったのか」
「なぜ取りこぼしてしまう案件が生まれるのか」

その答えの多くは、“アカウント(企業)全体を見ているかどうか” にあります。

本記事では、ある企業のマーケターが現場での違和感をきっかけに、
ABM(アカウントベースドマーケティング)の必要性に気づき、
やがて組織を動かしていった実体験のストーリーをご紹介します。

ABMの必要性を感じた、あるマーケターの話

マーケターのMは、アクセス解析とデータ分析を得意とする入社7年目の社員だ。
最近、Webからのお問い合わせの一次対応を任されるようになった。

お問い合わせ内容を確認し、
Web行動ログと照らし合わせて確度が高いと判断したものを営業に共有する。
この取り組みが、営業から高く評価されていた。

きっかけは、ある1通のお問い合わせ

当時、お問い合わせはメールで一元管理され、
マーケティングマネージャーが感覚的に営業へ振り分けていた。

ある日、マネージャー不在のため、Mが代行することになる。
その中で、某大手IT企業からの問い合わせが目に留まった。

「SaaS製品の概算を知りたい」

Mはふと疑問を持った。

「このまま営業に渡して、本当に“概算”だけで終わってしまわないだろうか」
「もっと背景を知れば、別の提案ができるのではないか」

データを辿ると、見えてきた“企業の意図”

Mは、マーケが保有するデータを横断的に分析した。

すると、その企業の担当者は
・半年前から継続的にWebを閲覧
・複数の製品資料を特定期間に集中してダウンロード

していることが分かった。

この情報を営業に共有し、
概算だけでなく複数製品を用意して訪問した結果、
クロスセルに成功し、大きな受注につながった

この成功をきっかけに、
営業から「訪問前にもっと分析してほしい」という要望が増えていく。

しかし、次の案件で違和感が生まれる

あるITベンチャー企業から、PaaS導入に関する問い合わせが入った。
内容からして確度は高そうだったが、Webログにはほとんど情報が残っていない。

営業は商談に臨んだが、
実際にはすでにトライアルを実施し、
比較検討がかなり進んでいる状況だった。

「なぜ、ここまでの情報が分からなかったのか?」

サイロ化されたデータが、機会損失を生む

Mは、マーケデータ、トライアル情報、イベント情報、営業資料を突合し始める。

すると、

  • 半年前のイベント参加履歴

  • メルマガ登録

  • 技術コンテンツの閲覧

  • トライアル実施履歴

  • SFAに登録されていない営業活動

といった情報が、バラバラに存在していることが判明した。

さらに、
企業名の表記揺れによって、
同一企業が別アカウントとして登録されていることも分かった。

企業は「一人」では動いていない

分析の結果、見えてきたのは以下の構図だった。

  • 決裁権を持つ本部長

  • 複数プロジェクトを統括する部長

  • 実務を推進する課長

  • 技術検証を行うシステム担当

それぞれが異なる接点・行動を持ち、
企業として一つの意思決定に向かって動いていた

この全体像を踏まえ、
営業とマーケ、SEが連携して次の商談に臨んだ結果、
複数製品と開発案件を含む 大型受注が成立 した。

そして、ABMが組織の戦略になる

この経験を機に、A社には
ターゲットアカウントを専任で扱う ABM推進部 が設立される。

  • アカウント情報の一元管理

  • データの正規化・名寄せルールの整備

  • 定期的なデータクレンジング

  • 部門横断の情報共有

これにより、
提案の質と商談の成功率は大きく向上していった。

このストーリーが伝えたかった3つのポイント

1. BtoBは「Many to Many」である

企業は一人では意思決定しない。
ABMとは、企業全体を捉えるための考え方である。

2. データは「集める」だけでは意味がない

オンライン・オフライン、紙・デジタルを統合し、
可視化して初めて価値を持つ。

3. アライメントこそがABMの本質

マーケ、営業、製品、システム。
役割を理解し、連携することで初めて成果が生まれる。

おわりに

ABMは特別な手法ではありません。
顧客を正しく理解しようとする姿勢そのもの です。

本記事が、ABMの必要性を考えるきっかけになれば幸いです。

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